今年の秋番茶から、我が家は初めての荒茶加工デビューをしました。
荒茶加工とは、お茶っ葉を収穫して一番最初に加工する作業のことです。
最近、荒茶加工をする工場がどんどん少なくなっています。
それはお茶の値段が下がり、経営が成り立たなくなって茶畑を手放す農家が増えているのと同じように。
茶農家の農作業も大変な力仕事ですが、荒茶加工を動かしていくのも、長時間労働の大変体力の必要な仕事です。
年を重ねていくうちに、仕事量に対して体力が追いつかなくなっていきます。
我が家が、しばらく荒茶加工を委託させて貰っていた「田中のおやっさん」もそんな1人でした。
「田中のおやっさん」の工場はいつも掃除が行き届いていて、おやっさんの真っ直ぐな人柄らしく、丁寧な仕事。綺麗なお茶の仕上がりに私達はいつも安心して加工をお願いしていました。
ところが、「杵さん、お茶を揉むのは今年が最後にしようかと思ってる。」
「うちは手伝ってくれていた娘も妊娠して手伝いを頼めなくなったし、私も腰が痛くて体力が持たない。」
それはそれは困りました。お義父さんも、田中のおやっさんに迷惑はかけられないと、あちこち加工して貰うあてを探しましたが、なかなか決まり手が見つからない。
そんなこんなで、「うちの一起を勉強を兼ねて手伝いに行かせて貰うので、どうかもう少しお願い出来ないか」と頼みこみなんとか無理を言って引き伸ばして貰いました。
かれこれ、田中のおやっさんがそろそろ辞めると言い出してから2〜3年経っていたでしょうか。
一起さんはその3年位の間、お茶の収穫時期のたびに、夜は田中のおやっさんのところで修行させて貰いました。
そして今年、ようやく茶工場を手に入れて、荒茶加工をスタートさせることが出来ました。
あまりにも広い工場、沢山の機械、私は初めて工場に入った時は圧倒されました。一起さん大丈夫かな?
茶工場の経験者の方にお手伝いをお願いしての加工スタートでしたが、大きな失敗もなく、無事お茶時期を乗り越えることが出来ました。
あっちこっちの機械の間を行ったり来たりして細かい調整をしたり、お茶の様子を確認する真剣な姿は、いつもの一起さんよりも、大きな責任を任せて貰えたという喜びも一つ背負っているように見えました。
一起さんが初めて揉んだ秋番茶。
いつもなら、春の新茶と比べて、ガサガサして葉っぱも大きいし、まじまじと眺めてから袋詰めすることもなかったんだけど、秋番茶なのにとても大切に感じる。
袋を開けた瞬間、まだ青い香りがした。
初めての加工なので、まだまだこれからだと思います。
でも田中のおやっさんの真っ直ぐなところを引き継いで、きっとこれから試行錯誤して少しずつ上を目指していきます。
あたたかく時には厳しく見守って頂けたら幸いです。
0 件のコメント:
コメントを投稿